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試験管

2.葉緑体リボソームの活性を調節するタンパク質の研究

    リボソームは巨大なタンパク質合成装置であり、バクテリアでは細胞重量の50%以上をリボソームが占めているほどに多量に存在し、細胞ではたらく多種多様なタンパク質を合成しています。細胞内に多量に存在するリボソームは、タンパク質合成(翻訳)がそれほど多く必要でない状況(例えば、定常期やストレス時)においては、どうなっているのでしょうか?そのようなときに、リボソームに結合して、その翻訳活性を抑える因子をHibernation Promoting Factor(HPF)と呼びます(図3)。葉緑体のHPFはPSRP1と呼ばれ、ヒメツリガネゴケを用いて、このタンパク質の研究を行っています。これまでの研究により、細胞にストレスがかかった時や、光が当たらない時にPSRP1が機能を発揮すること、PSRP1が機能しないと暗所でリボソームの分解が起こることが分かりました。これらの結果は、光が当たらず葉緑体内の翻訳活性が低い場合に、リボソームの安定な保存にPSRP1が大きく寄与していることを示します。さらに、PSRP1が機能しない株では、植物体の生育遅延が見られ、これはPSRP1が植物の正常な発達に関わっていることを示唆しています。また、最近、ストレスによって、PSRP1(およびその他の葉緑体タンパク質)の細胞内局在が変化することを見出しました(図4)。この現象の機構に関しても解析中です。

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​図3 HPFによるリボソームの不活性化

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​図4 PSRP1の細胞内の動態

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